マンション売却には各種諸経費や税金が必要です
売買手数料とは別に支払う税額を十分に把握しておく必要があります
マンション売却時に税金がかかる?基本的な仕組み、解説します。
人生で最大の買い物と言われているマイホーム。それを手放すことになったら、なるべく高い値段で売りたいですよね。

とはいえ、高い金額が動くゆえ上手に売却しないと大きな損をすることに。特に税金絡みの知識を知っていると知らないでは、最終的な手元に残る金額の差が大きくなります。

ということで、今回から10回に分けて、”マンションの売却は初めて”という方向けに、マンションの売却にまつわる税金のあれこれから、実際にかかる金額のシミュレーション、シチュエーション別の解説をしていきます。

知っていると知らないでは数10万~100万円単位で変わってくる話もありますので、是非参考にしてくださいね。

第9回では確定申告に必要な資料について解説をしてきました。

実は、確定申告で一番大変なのが資料の準備で、これさえしっかり出来ていれば申告の8割は終わったと言っても過言ではありません。

というのも、申告書に記入していく内容は、基本的に集めた資料の中に書いてあるからです。

ここまでくればあと少し。第10回では、申告書の入手方法から書き方、提出方法までを解説していきます。

※下記の内容は2016年12月末時点のものです。法令等の変更により書き方や提出資料などが変わっている可能性もありますので、必ず国税庁HPや税理士等の専門家への確認をしてください。

申告書の入手方法

申告書の入手方法はいくつかありますが、一番簡単かつすぐ手に入るのは、国税庁HPからダウンロードする方法です。

こちらのページから『申告書B【平成○年分以降用】(PDF)』と『申告書第三表(分離課税用)【平成○年分以降用】(PDF)』を印刷してください。

また、『譲渡所得の内訳書』も必要となります。

こちらも印刷をしましょう。

ちなみに『申告書A』ではマンションの売却に関する所得が申告できませんので、注意してください。

PCでのネット環境がない場合は、税務署へ問い合わせれば送付してもらえます。

ネットでの買い物などに慣れている方は、e-Tax(電子申告)での申告もおススメです。こちらの手続きに関してはe-Tax専用ページの確定申告特集で丁寧な解説がありますので、そちらを参照してください。

確定申告書の書き方(前半)

申告書の準備ができたら、早速資料を基に作成をしていきましょう。

詳しくは国税庁HPに掲載されていますので、ここでは重要なポイント、わかりにくいポイントを重点的にお伝えします。

では、『申告書B』の基本的な記入方法から説明していきます。

まずは会社からもらった『第一表』の項目を埋めていきます。

そのための資料として、会社からもらった『源泉徴収票』を準備しましょう。

サラリーマンの方でしたら収入と所得欄は『給与』の部分のみ、その下にある所得から差し引かれる金額は、源泉徴収票に該当する同じ項目の金額を記入すればOKです。

次に『第二表』の項目を埋めていきます。

左側で記入するのは、所得の内訳です。ここも源泉徴収票を見て、会社名・収入額(所得ではありません)・源泉徴収税額(所得税額)を記入しましょう。

右側は第一表の所得から差し引かれる金額欄と連動している部分で、社会保険料控除や生命保険料控除などを同様に記入していきます。

最後に下側(住民税)です。扶養家族の欄は年末調整をしているのであればそちらで把握されますので、今回の記入は不要です。

また、右の方に住民税を『給与から差し引き』または『自分で納付』を選べますが、自分で納付を選ぶと年4回振り込みに行かなければなりませんので、何か事情がなければ『給与から差し引き』を選ぶほうが良いでしょう。

上記の内容が終われば、次は『譲渡所得の内訳書』を記入しましょう。

譲渡所得の内訳書は順番どおりに記入すればほとんど迷うことはないように作られていますので、すぐに作成できると思います。

これが終われば『第三表』の作成へとりかかりましょう。

こちらは譲渡所得の申告になります。

まずは内訳書の4.で記入したマンションの売却額(A)を『収入金額』の欄に、譲渡所得金額(E)を所得金額の欄に入れましょう。

居住期間が5年未満であれば分離課税⇒短期譲渡⇒一般分の欄に、5年以上であれば分離課税⇒長期譲渡⇒一般分の欄に記入してください。

次は右下にある『分離課税の短期・長期譲渡所得に関する事項』を埋めます。

こちらも内訳書の4.で記入した必要経費と差し引き金額を記入します。(住所は内訳書の1.で記入したものを転記してください。

ここまできたら半分終了です。

確定申告書の書き方(後半)

ここからは税金の計算に移っていきます。引き続き『第三表』の記入をしていきましょう。

左下と右上を見てください。『税金の計算』という欄がありますね。これからこの部分を埋めていきます。

まずは左下。まず9と25の欄に、第一表の9(所得金額の合計)と25(所得から差し引かれる金額の合計)を転記してください。

次はその下の『課税される所得金額』欄に、第三表の左側に書いた番号欄に対応する所得金額を書いてください。(長期上との一般であれば61という具合です)

次は右上に移りましょう。

右上は左下に記入した所得に税率をかけた税金の金額を記入します。総合課税と譲渡所得の税額が出たら、その合計額も記入してください。

税率については所得金額やマンションの所有期間等で変わりますので
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2013/kisairei/joto/pdf/001.pdf
の42ページから43ページを参照してください。

税金の金額を記入したら、次は『第一表』へ戻りましょう。

ここからは年末調整と同様の処理をします。所得の金額から控除額を差し引き、それに102.1%をかけた金額が納める税金の額となります。

詳しい内容は上記PDFの11ページを参照して欲しいのですが、100円未満は切り捨てとなるところに注意してください。

通常の確定申告は以上で終了となります。お疲れ様でした。

マンション売却等により損失が出た場合の申告方法

ここからは売却時に損失が出た場合の申告方法を紹介していきます。買い替えを伴う場合は19ページから23ページを、売却のみの場合は24ページを参照してください。

基本的な流れは今までに解説した内容と同じですので、記入方法が違う点だけ説明します。

まず、損失が出た場合には第一表~第三表に加え、『住居用財産の譲渡損失の金額の明細書』と『住居用財産の譲渡損失の金額の計算書』が追加で必要になります。

これを提出することで国や自治体が損失を把握することになり、今回や来年以降の税金を計算する際、損失分を控除することができるのです。

書類は
明細書
計算書
から印刷できます。

準備ができたら、明細書の記入をしていきましょう。

基本的には金額や日付などをそのまま当てはめていくだけですが、マンションの場合は建物と土地の記入欄が曲者です。なぜなら、基本的に建物と土地の価格を分けていない場合がほとんどだからです。

このような場合、一定の計算方法に従って建物分と土地分に価格をわけることとなります。具体的には41ページにある建物の取得価額の計算表に該当する金額から床面積をかけた額を建物の金額とし、購入額からその金額を引いたものが土地の金額となります。

また、建物は時間が経つにつれその価値が減少するため、その影響も考慮しなければなりません(これを明細書では償却費相当額と呼びます)。

償却費相当額についてはマンションの構造や年数によって変わってきますので、36ページの中から当てはまる項目を抜き出してください。

これで明細書は完成です。これでた損失の金額を基に、第一表の左側(給与の所得額)と第三表(譲渡所得の金額)を記入していきましょう。

記入方法はほぼ基本の流れと同じ内容ですが、注意して欲しい点がいくつかあります。

まず、第三表に記入する譲渡所得の金額はマイナスのため、金額の前に必ず△をつけてください(マイナスの意味になります)。

次に、損失が出た場合は特例を使うことになりますので、その特例が定められた条文がどの法律の第何条・何項・何号に当たるのかを右上欄に記載しなければなりません。ed b”>この記事は2016年12月現在の法令等に基づいて作成しています。そのため、正確な税額等を知りたいときは、税務署や税理士等へ相談されることをおすすめします。

そもそも、マンション売却時に税金はかかる?

結論から言えば、印紙税など細かいものを除けば、マンション売却時に利益が出たら税金がかかります。

その税金の名前は『所得税』。

給与明細を見たら、毎月いくらか引かれていますよね。あの所得税です。マンション売却で出た利益はあなたの『所得』としてみられ、その金額や様々な条件に応じて税金がかかるのです。

ところで、あなたはこの『所得』と、『収入』の違いがわかりますか?マンション売却で税金を節約する時に役立つ情報ですので、是非押さえておきましょう!

まず収入とは、単純に自分が稼いだお金のことです。給料なら所得税や保険証の健康保険、年金などが引かれる前のものですね。マンション売却で言えば、単純な売却の金額を言います。

これに対し所得とは、稼いだお金から必要経費を差し引いたお金のことです。給料なら先ほどの所得税などに加え、年末調整で出している支払った保険料の一部などを引いた後のものです。

これがマンションの売却になると、売却額から不動産会社へ支払う手数料などの費用だけでなく、購入時にかかった費用なども引いた後のものです。

勘の良い方ならお気づきと思いますが、マンション売却時の税金は『収入』ではなく『所得』で決まるため、

『マンションの売却額-(マンションの購入額+購入及び売却にかかった費用)』

この金額を基準に計算されるのです。

かかった費用を見落とすと、本来の税金より高い金額をを払わなければならなくなりますので、しっかりとチェックしてくださいね。

マンション売却時にかかる税金はどうやって決まる?

マンションを売却した時、主にかかる税金は『所得税』で、その金額は売却した金額(収入)から購入した金額と購入及び売却にかかった費用を差し引いた金額(所得)が計算の基準になることはおわかりいただけたと思います。

では、ここからどうやって税金の額を計算すればいいのでしょうか。

ここで出てくる重要なキーワードは、『譲渡所得』と『分離課税』です。

そもそも所得税を計算するときには、まず自分の所得を10種類の区分に分けることから始めます。

一番身近なものは『給与所得』です。会社からもらう給料やボーナスなどはこれにあたり、ほとんどの方はこの『給与所得』のみで所得税を計算しています。

他には自営業の方が稼いだ所得が該当する『事業所得』、競馬や宝くじが当たったお金が該当する『一時所得』などがあります。

『譲渡所得』はこれら区分の1つで、マンションや土地などを売却したときの所得はこの『譲渡所得』としてカウントされるのです。

ところで、なぜ『所得税』を計算するとき所得を10もの種類に分けるのでしょうか。それは、公平に税金を負担してもらうためです(実際には様々な特例がありますので、そうなってはいませんが・・・)。

例えば、『給与所得』は一般的な人がほとんど該当する所得で、日々生活するために必要な所得であることから、他の所得よりも比較的軽い税金をかけるようにしています。また、退職金をもらったときに該当する『退職所得』は、その後の生活費などに使うことが予想されることから、他の所得より税金がかからないように配慮されています。

一方、株の配当金等の『配当所得』、土地や建物を貸した時に得られる『不動産所得』などは他の所得より金額が大きくなりやすいので、税金も大きくかけるといった具合です。

『譲渡所得』は、どちらかと言えば後者の税金をかけやすい所得にあたります。

また、10に分けて算出したそれぞれの所得は、『総合課税』と『分離課税』という方法で所得税の計算をします。

『総合課税』とは、それぞれの所得を合計した金額から税金を計算するもので、『分離課税』とは、それぞれの所得独自で税金の計算をすることです。

『譲渡所得』は『分離課税』に分けられ、普段もらっている給料とは別物として計算します。

まとめ

・マンションを売却したときには、『所得税』を払わなければいけない可能性がある。

・『所得税』は、マンション売却金額-購入時の金額と売却&購入時の費用が基準になる。

・マンション売却時の所得は『譲渡所得』として、他の所得とは分けて計算。

マンションの売却にかかる税金を把握することは、基本をしっかり抑えれば十分理解できるものですし、何より知っていると得する制度がたくさん設けられています。1つずつ覚えて、損をしないマンション売却をしましょう!

次回は所得税以外にかかる税金について解説していきます。

マンション売却 税金➡第2回所得税以外にかかる税金について